「特許とは何かをわかりやすく知りたい。
発明をしてるわけではないので特許が思いつかない。
特許を出願するメリットはあるの。」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 特許とは何かをわかりやすく説明します
- 「発明」という言葉のイメージを変えましょう
- 特許を出願する3つのメリット
この記事を書いている私は、ディスプレイ用ICの開発を20年近くやってきました。
特許を20件以上出願、登録し、知的財産管理技能検定3級に合格しています。
こういった私が解説していきます。
特許とは何かをわかりやすく説明します
特許とはわかりやすく言いますと「技術を独占的に使用できる権利」となります。
なぜわざわざこういう権利を作ったのかと言いますと、特許にはきちんとした目的があるからです。
その目的とは技術的な内容を公開してもらうことです。
つまり特許がなければ、それぞれのメーカは自分の技術を公開せずに自社のノウハウとしてしまいます。
こうなると情報が公開されずに秘匿されるので、産業の発展に支障をきたします。
そこで産業の発展を促進するために「技術を独占的に使用できる権利を与えるので情報を公開してね」という仕組みを作ったのが特許法となります。
この「技術を独占的に使用できる権利」が特許となります。
「発明」という言葉のイメージを変えましょう
「発明」と聞くと0から何かを作り出すとイメージされる方が多いかと思います。
もちろんそのイメージも正しいですが、特許における「発明」は「改善」ととらえることをおすすめします。
「発明」=「改善」とイメージを変えましょう。
なぜなら「改善」とイメージすることで、あなたご自身が行っている研究や開発において、特許になるネタを認識できるようになるからです。
〜具体的に例を出して説明します。〜
例えば誰かが自転車を発明したとします。
これに対してあなたが「暗いところでも走れるようにしたい」と考えて「ライトを追加する」という改善をしたとします。
この「ライトを追加する」ということが立派な「発明」となります。
「発明」は0から何かを作り出すものだとイメージしていると、この「ライトを追加する」ということが「発明」として認識できませんが、「改善」とイメージしているとこれは「発明」だと認識することができます。
開発や研究をしていると、何かしら問題や課題が発生します。
その問題や課題に対処したとき、そこに「発明」が実施されている可能性がかなり高いです。
ここで「改善」といっても回路とかアルゴリズムとか新規に考える必要があるのでは、と思われる方もいらっしゃると思います。
しかし従来から存在している技術を組み合わせることで、きちんと効果が得られるのであればそれも発明となります。
〜私自身の例となりますが、ディスプレイを駆動するICについての特許を説明します。〜
ディスプレイ用のICはディスプレイの都合上その出力をかならず周期的にOFFにする必要があります。
この出力を使ってディスプレイだけでなくLEDも点灯させようとしたのですが、周期的にOFFになるので点滅してしまうという問題がありました。
そこでIC内部にセレクター回路を追加して、周期的にOFFにするかしないかを設定できるようにしたというのが発明の内容です。
つまりやったことはセレクター回路の追加となります。またセレクター回路は教科書に載っている一般的な回路です。
しかし回路を組み合わせることで「ディスプレイ用のICでLEDを駆動できるようにした」という効果を得ることができています。
こういう風に従来技術の組み合わせでも問題と効果がきちんとしていれば特許になることができます。
「発明」=「改善」とイメージを変えることで、まずは特許のネタを見つけていきましょう。
特許を出願する3つのメリット
特許を出願することで得られるメリットを3つご紹介します。
1.報奨金がもらえる
これは会社勤めの方となりますが、特許を出願することで報奨金がもらえます。
(会社によってそういう制度がないところもあるかもしれませんので、そこはご了承ください)
特許を会社に譲渡するケースがほとんどだと思いますが、譲渡した場合は会社から相当の利益を受けることができます。
ですので基本的には報奨金をもらうことができます。
2.自分のやったことがきちんと残る
自分で研究、開発した内容と自分の名前が特許として残ることになります。
特許を出願するにあたって、弁理士の方に依頼して必要書類を作成して頂くことになると思うのですが、想像以上に詳細な説明で作成してもらえます。
自分のやったことがきちんとした文章になるというだけでもかなり価値があると思います。
また出願すると特許庁のデータベースに登録されます。
J-PlatPatという特許を検索できるサイトを利用しますと、自分が出願した特許を簡単に見ることができます。
3.知的財産管理に関するリテラシーがつく
特許を出願するときは知的財産管理の部署に依頼することになりますが、何回か出願したりして知的財産管理部の人と話をしていくうちに勝手にリテラシーがついてきます。
私自身、知的財産管理部の人と話をしていたおかげで、それほど苦労せず知的財産管理技能検定3級に合格することができました。
この知的財産管理技能検定ですが、知的財産を管理する技能の習得レベルを評価するための国家資格となっております。
知的財産に関わる部門へ就職・転職する際にも役に立つ資格となっていますので、知的財産管理に関するリテラシーをつけておくのは有益だと思います。
まとめ
特許とは何かをわかりやすく説明しました。
「発明」のイメージを変えることで、特許を出願するきっかけになって頂ければありがたいです。