
「バンドギャップとは何かを知りたい。
価電子帯と伝導帯とは?
半導体は導体や絶縁体とどう違うの?」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- バンドギャップとは何かをわかりやすく説明します
- 価電子帯と伝導帯について説明します
- 導体、半導体、絶縁体の違いについて説明します
この記事を書いている私は、ディスプレイ用ICの開発を20年近くやってきました。
特許は20件以上出願、登録しています。
こういった私が解説していきます。
バンドギャップとは何かをわかりやすく説明します
バンドギャップとは「動けない電子と自由電子とのエネルギーの差」のことです。
バンドギャップエネルギーは「動けない電子が自由電子になるためのエネルギー」となります。
半導体であるシリコンを例に説明します。
シリコン原子は4本の手があるイメージでその手をつなぐことで結合しています。
しかしその手をつなぐためには電子が仲介役として存在している必要があります。
従って、電子はシリコン原子から離れていくことができません。
これが動けない電子です。
ただしこの結合はそれほど強くはないので、外から熱や光といったエネルギーをもらうと結合が崩れます。
結合が崩れることで電子がシリコン原子のそばにいる必要がなくなり、これが自由電子となります。
この自由電子が存在することで電流を流すことができます。
自由電子は外からエネルギーをもらうことで高いエネルギー状態にあるので、自由電子のエネルギー状態と動けない電子のエネルギー状態には「差=ギャップ」があります。
このエネルギーの「差=ギャップ」がバンドギャップとなります。
価電子帯と伝導帯について説明します
価電子帯と伝導帯とは
価電子帯は「動けない電子のエネルギー帯」で伝導帯は「自由電子のエネルギー帯」となります。
図にすると次のような感じです。
先程のシリコンを例にしますと、電子がシリコン原子のそばにいるエネルギー状態が価電子帯で、自由電子のエネルギー状態が伝導帯となります。
この価電子帯と伝導帯の間がバンドギャップとなります。
エネルギー帯
エネルギー帯というのは電子がとどまることができるエネルギーの範囲となります。
例えば、エネルギーを「高さ」でイメージしてみてください。
電子は高さが「1m〜2m」、「3m〜5m」と言った感じである特定の範囲にいる必要があります。
このときの2m〜3mの空白の部分ですが、とどまることができないだけで移動する分にはOKとなっています。
つまり高さ「1m〜2m」にいた電子がエネルギーをもらうことで、高さ「3m〜5m」の範囲に移動したりすることができます。
電子の状態
価電子帯は「エネルギー帯に電子がつまっている状態」で、伝導帯は「エネルギー帯に余裕がある状態」となります。
価電子帯は電子がいっぱいなので、外から電圧を加えても電子は移動することができません。
伝導帯はエネルギー帯に余裕があるので、外から電圧を加えると電子が移動することができます。
動けない電子は「エネルギー帯に余裕がない状態」、自由電子は「エネルギー帯に余裕がある状態」ということになります。
まとめますと、次のとおりです。
- 価電子帯:動けない電子のエネルギー帯 → エネルギー帯に余裕がない
- 伝導帯:自由電子のエネルギー帯 → エネルギー帯に余裕がある
導体、半導体、絶縁体の違いについて説明します
導体、半導体、絶縁体の違いは次のとおりです。
- 導体:常に自由電子が存在する
- 半導体:外からエネルギーをもらうことで自由電子が存在する
- 絶縁体:自由電子が存在しない
導体
導体は外からエネルギーをもらうまでもなく、常に自由電子が存在している状態になっています。
バンドギャップがなく価電子帯と伝導帯がくっついて一つの伝導帯のようになっていて、エネルギー帯に余裕がある状態となっています。
半導体
半導体は外からエネルギーをもらうことで自由電子ができます。
これは外からエネルギーをもらうことで、価電子帯にいた電子が伝導帯に移り自由電子になるということです。
ここで電子が伝導帯に移ることで価電子帯にもエネルギーの余裕ができます。
つまり価電子帯でも電子が移動することができるようになります。
電子が抜けた穴が移動しているように見えるので、これをホール(正孔)と呼んでいます。
絶縁体
絶縁体は電流に寄与できる自由電子が存在しません。
これはバンドギャップが大きいために外からエネルギーをもらっても電子が自由電子になることがないからです。
絶縁体はバンドギャップが広いため、価電子帯から伝導帯へ電子が移ることができません。
エネルギーの関係をまとめますと、次のようになります。
- 導体:バンドギャップがない
- 半導体:バンドギャップが小さい
- 絶縁体:バンドギャップが大きい
まとめ
バンドギャップについて説明しました。
本記事を読んで、エネルギーをもらった電子がシリコン原子から離れていくイメージと、電子が価電子帯から伝導帯へ移るイメージをあわせてつかんで頂ければありがたいです。