回路設計を独学できる3つの方法【まずは身近な回路から始めよう】

回路設計を独学したい人
「回路設計を独学できる方法を知りたい。
物理とか数式とはあまり詳しくないけど大丈夫かな?
勉強したのはいいけど、ちゃんと実務に活かせるかな?」

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 独学できる方法をまとめました
  2. 物理や数式とか詳しくなくても大丈夫な理由
  3. 実務に活かすため注意すべき勉強3点

この記事を書いている私は、ディスプレイ用ICの開発を20年近くやってきました。
特許は20件以上出願、登録しています。

こういった私が解説していきます。

独学できる方法をまとめました

①本を読む

「本を読む」→「その知識を使ってみる」を繰り返すことで理解していくことが基本になります。

ただし最初は何冊も読む必要はなく、1〜2冊程度を読み込んでいく形でOKです。

専門的な本をたくさん読むのも良いですが、全般的な本を1つだけ読み込んでいくほうをおすすめします。
ちなみに私自身は入社当時に購入した半導体入門の本を20年近く愛用していました。

②セミナーを受ける

セミナーを受けて実際に話しを聞くことで、まとまった知識を得ることができます。

やはり本で勉強するのとは違って、分からないところを質問できたり、その場で回路を動作させて確認できるのがセミナーの利点となります。

私自身、度々お世話になっていたのは高度ポリテクセンターです。
会社経由で申込みができましたので、それを活用していました。

会社に勤めている方は、会社の研修制度を利用できるか確認して頂くと良いかと思います。

③シミュレーションしてみる

知識を使うために回路を動作させてみるのが大切となります。

実際に回路を組み上げて動作させるのは大変ですので、シミュレーションを活用するのが良いかと思います。

LTspiceという完全に無料で使えるツールがありますので、よければ一度お試しください。

物理や数式とか詳しくなくても大丈夫な理由

結論としてそこまで詳しくなくても大丈夫です。
難しい計算ができなくても問題ありません。

物理の知識や計算そのものを使うのではなく、公式だけ利用すれば問題ないからです。

例えば発熱計算では「発熱=電力×熱抵抗」という式を使えばおおよそ計算できます。

また計算のほとんどは掛け算になります。
私も関数電卓はもっていますが、微分積分の機能は一度も使ったことがありません。

ここまで読まれた方は「しっかり理解するためにはやはり物理が必要ではないのか?」と思うかもしれません。

確かに回路といっても物理現象の範囲ですので、しっかり理解するためには物理の知識はあったほうがよいのは確かです。

しかし回路設計を誰かと相談する時やレビューする時は必ず言葉にして表現する必要があります。
つまり数式として表現することはそこまで重要ではありません。

例えば「コンデンサーはQ=CVとなります」と言われても少しピンと来ないかと思います。

これを「コンデンサーは電荷を充電するもの」と言葉で表現すれば、コンデンサーの動作が少しイメージできるかと思います。

さらに「コンデンサーは電圧を安定させるもの」とか「コンデンサーは擬似的な定電圧源になる」と表現すると、コンデンサーが回路にどう使われるかまでイメージできるかと思います。

「回路としてどう動作するか」を言葉で説明できるほうが重要となります。

従いまして、物理や数式とかそこまで詳しくなくても大丈夫です。

実務に活かすため注意すべき勉強3点

勉強したけど実務に活かせないという事態をさけるために、注意すべき3点をご紹介します。

①勉強内容が実務と合っていない

初歩的なことですが、回路と言ってもいくつか種類というか分野があります。
特に「電気回路」と「電子回路」は言葉が似ていますが、内容は全く違います。

本やセミナーは事前にきちんと内容を確認して、ご自身に合った内容を選択するようにしましょう。

②本の内容が専門的すぎる

例えばオペアンプの使い方を勉強するために普通にオペアンプの本を買ってしまうと、専門的すぎて本を読んでもあまり理解できない可能性があります。

アナログ回路全般の本の一部にオペアンプの使い方が少しだけ書かれている場合があるのですが、そちらのほうが簡潔に書かれているため分かりやすいケースがあります。

自分の知りたい内容が一部しか書かれていなくても、理解できそうなものを購入するようにしましょう。

③回路の使い方を意識していない

回路の勉強する時に動作原理を理解しただけですと、実際の回路設計に活かすことが難しくなります。

動作原理も大切ですが、その回路をどういう風に使うのかをイメージすることが重要です。

回路を使うイメージを掴むのが難しい場合は、逆に「使うイメージができる回路」を優先的に勉強すると良いかと思います。

具体的には「実際に使っている回路」や「これから使う予定がある回路」を中心に勉強を進めたほうが習得が早くなります。

頭から順番に一つずつ回路を勉強していくやり方でもかまいませんが、勉強の順番にこだわらず身近な回路から勉強するほうをおすすめします。

まとめ

回路設計を独学できる方法をまとめました。
知識の習得はそれほど難しくないと思います。

ただし実際に回路を組んで動作させるところまでやろうとすると独学での限界があります。

実務でも学校でもかまわないでのですが、将来的にはご自身で回路を設計し評価できる環境に身を置く方法を検討して頂けると幸いです。