【簡単】RC回路について説明します【初心者でも大丈夫です】

RC回路について知りたい人
「RC回路とは何かを知りたい。
RC回路はどこででてくるの?
時定数は何の意味があるの?」

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. RC回路について説明します
  2. RC回路がでてくるケース3つ
  3. 時定数の使い方

この記事を書いている私は、ディスプレイ用ICの開発を20年近くやってきました。
特許は20件以上出願、登録しています。

こういった私が解説していきます。

RC回路について説明します

RC回路は「R=抵抗」と「C=コンデンサ」から構成される回路です。
入力に対して出力が遅延するという特徴があります。

RC回路のポイントは次の3つとなります。

  1. 抵抗は入力と出力の間、コンデンサは出力とGNDの間
  2. 時定数は「抵抗×コンデンサ」で算出
  3. 時定数は出力が60%くらいまで変化する時間

1.抵抗は入力と出力の間、コンデンサは出力とGNDの間

RC回路は抵抗が入力と出力の間、コンデンサが出力とGNDの間に接続されている回路となります。

入力と出力が抵抗で接続されているというのがポイントです。

抵抗とコンデンサの位置が入れ替わった回路は「RC回路」ではなく「CR回路」となります。

RC回路とCR回路はまったく違う回路ですので、抵抗とコンデンサの位置は注意しましょう。

2.時定数は「抵抗×コンデンサ」で算出

抵抗の値とコンデンサの値を掛けることで時定数を算出できます。
時定数の単位は時間となります。

例えば抵抗=150Ω、コンデンサ=0.1μFとしますと、時定数は「150Ω×0.1μF=15μs」となります。

3.時定数は出力が60%くらいまで変化する時間

時定数で算出された時間は出力が60%くらいまで変化するまでの時間となります。
(正確には63.2%となります。)

例えば入力を0Vから5Vにした場合は、出力が3Vくらいまで立ち上がるまでの時間となります。

つまり時定数は出力の遅延時間となります。

抵抗=150Ω、コンデンサ=0.1μFのRC回路で、入力を0Vから5Vにした場合の出力は下の図のようになります。

RC回路がでてくるケース3つ

RC回路がでてくるケースを3つご紹介します。

  1. 信号の入力
  2. 電圧の出力
  3. フィルター

1.信号の入力

入力先に意図しないコンデンサが入ってしまっているため、RC回路が形成されるケースです。

入力抵抗と入力先の寄生容量で構成されるRC回路となります。

例えば信号を入力抵抗を介してICに送信したとします。

ICの入力は入力容量があるのでRC回路が形成されて、ICに入力される時の波形は送信時の波形よりも遅れます。

こんな感じで信号を入力するときに形成されるRC回路があります。

2.電圧の出力

出力先に負荷としてコンデンサーが入ってしまっているため、RC回路が形成されるケースです。

出力抵抗と出力先の負荷容量で構成されるRC回路となります。

例えば発光ダイオードを点灯させるためにICから電圧を印加するとします。

発光ダイオードには負荷容量があるためRC回路が形成されて、発光ダイオードに印加される時の波形は出力時の波形よりも遅れます。

こんな感じで電圧を出力するときに形成されるRC回路があります。

3.フィルター

電圧の変動を除去するために、フィルターとしてRC回路を形成するケースです。

回路部品として抵抗とコンデンサを使用するRC回路となります。

つまりこのRC回路の抵抗とコンデンサは意図して設計されたものとなります。

例えば電源のノイズを除去するために、抵抗=10Ω、コンデンサ=0.1μFのフィルターを入れたりします。

こんな感じでフィルターとして使用するRC回路があります。

ここで取り上げたケースは一例ですので、他にもRC回路はでてきます。

RC回路のイメージを掴むための参考にして頂けたらと思います。

時定数の使い方

時定数は主に遅延時間の確認として使います。

使い方として3つの例をご紹介します。

  1. 抵抗値のあたりをつける
  2. シミュレーションや測定結果の確認
  3. フィルターの定数を決める

1.抵抗値のあたりをつける

抵抗の値を決める時に、どれくらいの値にするかあたりをつけるために時定数を使います。

例えば寄生容量が200pFの入力に対して、1MHzのクロック信号が入力されるケースで説明します。

このときの入力抵抗はどれくらいの値にすればよいでしょうか?

1MHzということは周期は1μsとなりますので、ハイとローの時間は500nsずつとなります。

入力抵抗が100Ω、1kΩ、10kΩのときの時定数は次のとおり算出できます。

100Ω:100Ω×200pF=20ns
1kΩ:1kΩ×200pF=200ns
10kΩ:10kΩ×200pF=2μs

ハイとローの時間は500nsでしたので、この時間と比較すれば次のような結論になります。

100Ω:問題なし
1kΩ:遅延が大きく動作に影響する
10kΩ:動作しない

つまり入力抵抗は100Ωくらいがちょうど良いということになります。

こんな感じで時定数を使うことで抵抗値のあたりをつけることができます。

2.シミュレーションや測定結果の確認

シミュレーションや測定結果の確認として時定数を使います。

例えば出力抵抗が100Ω、出力先の寄生容量が200pFである出力波形を測定するケースで説明します。

時定数は100Ω×200pF=20nsなので、20nsくらいの遅延になるはずです。

もし測定した出力波形の遅延が200nsとなっていた場合、何か異常があることがわかります。

こんな感じでシミュレーションや測定結果に対しておおまかにあたりをつけることで、その結果が正しいかどうかを判断することができます。

3.フィルターの定数を決める

RC回路をフィルターとして使う場合、定数を決めるために時定数を使います。

フィルターの定数とは抵抗とコンデンサの値のことです。

時定数が大きくなると、フィルターとしての性能がよくなります。

例えばフィルターの性能をよくするために、抵抗=10Ωとコンデンサ=0.1μFのフィルターに対して、コンデンサを1μFに変更するといった感じです。

ここでコンデンサではなく抵抗を100Ωに変更しても同じになります。

つまりフィルターの性能としては、「抵抗=10Ω + コンデンサ=1μF」と「抵抗=100Ω + コンデンサ=0.1μF」は同じになるということです。

こんな感じで時定数を意識することでフィルターの定数を決めることができます。

まとめ

RC回路について説明しました。

この記事を読んでRC回路や時定数についてイメージを掴んで頂けたらありがたいです。

回路設計の勉強についてこちらの記事で解説していますので、よろしければぜひ御覧ください。
>>回路設計を独学できる3つの方法【まずは身近な回路から始めよう】