電子回路とは何かについて説明します【イメージをつかみましょう】

電子回路とは何かを知りたい人
「電子回路のイメージを掴みたい。
どういう風に勉強していけばいいのかな。
どういった勤務先があるかな。」

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. 電子回路とは何かについて説明します
  2. 電子回路を勉強する際のおすすめの内容
  3. 電子回路のスキルが活かせるところ

この記事を書いている私は、ディスプレイ用ICの開発を20年近くやってきました。
特許は20件以上出願、登録しています。

こういった私が解説していきます。

電子回路とは何かについて説明します

電子回路とは一言で言ってしまうとトランジスタを用いた回路です。

正確には能動素子と受動素子を用いた回路となりますが、まずはイメージが大切ですので電子回路はトランジスタがある回路というくらいの認識で十分です。

電子回路とはトランジスタを用いた回路

ということでトランジスタが何かを少し説明いたします。

トランジスタは下の2つの性質を持つものです

①ONとOFFを制御できるスイッチ
②定電流を供給できる素子

①の性質を使った回路がロジック回路で、②の性質を使った回路がアナログ回路となります。

ここでロジック回路とアナログ回路をおおまかに説明しますと下記のとおりとなります。

①ロジック回路:入力も出力も0、1のデジタルデータを扱う回路

例えばレジスタ、カウンター、セレクターなどがあります。

カウンターはクロック信号(0と1が切り替わるだけの信号)に応じて、
00→01→10→11という感じでカウントする回路です。

こういう回路はトランジスタをON、OFFすることで実現しています。

②アナログ回路:入力や出力、またはその両方が電圧や電流になっている回路

例えば発振回路、定電流回路などがあります。

発振回路は外部から入力された電圧に応じてクロック信号を生成する回路です。この場合は入力が電圧、出力がデジタルデータとなります。

こういう回路はトランジスタが定電流を供給できる特性を利用して実現しています。

少し言い換えますと、トランジスタを用いたロジック回路やアナログ回路が電子回路ということになります。

トランジスタの材料は半導体となります。つまり半導体製品は電子回路で構成されています。
半導体製品にどういうものがあるかはこちらの記事をご参考ください。

>>【初心者向け】半導体とは何か、わかりやすくまとめました【簡単です】

電子回路を勉強する際のおすすめの内容

電子回路といっても範囲が広いですので、まずはここを勉強しておけばOKというところをご紹介します。

全部でロジック回路、アナログ回路、トランジスタ特性の3つがあります。

「1.ロジック回路」からのほうが入りやすいかと思いますがどこから勉強してもOKです。
取り掛かりやすそうと思うところから手をつけてみてください。

1.ロジック回路

まずは論理積(AND)や論理和(OR)、否定論理積(NAND)や否定論理和(NOR)といった論理回路から、排他的論理和(XOR)まではしっかり理解するようにしましょう。

その後に組み合わせ回路に入りますが、ここはサラッと雰囲気をつかむだけでOKです。
(カルノー図とか実務で使うことがないですし、複雑なロジック回路はverilogなどのソフトを活用するからです。)

ラッチ回路とレジスタ回路はきちんと理解しておきましょう。ここがロジック回路の要といってもよいと思います。

フリップフロップはSR-FFとかJK-FFとか色々ありますが、D-FFだけ理解すればOKです。

レジスタ回路の基本となるD-FFと、レジスタ回路を使ったシフトレジスタはかなり重要ですのでここは必ず理解するようにしましょう。

余裕があればカウンター、セレクターと言った回路まで勉強しておくとよいと思います。

2.アナログ回路

アナログ回路はすべての回路を勉強する必要はありません。

できれば使う予定がある回路、またはすでに使っている回路を中心に勉強できると良いのですが、初めての方はそもそも回路を使うというイメージがないと思います。

私自身のおすすめとなってしまいますが、勉強しておいて損はない回路をご紹介します。

まずはオペアンプの動作を覚えましょう。イマジナリーショートが理解できればOKです。
オペアンプの中身や差動動作の理解まではいらないです。

次にオペアンプを使った回路を3つ理解しておきましょう。

①ボルテージフォロア
②非反転増幅回路
③定電流回路

これ以外もオペアンプを使った回路はありますが、まずは上の3つを理解しておけば良いかと思います。
上の3つの回路からオペアンプの基本動作を理解しておけば、他の回路もなんとか理解できると思います。

とりあえずここまででも十分かと思いますが、余裕があればカレントミラー回路や他の回路も勉強しておくとよいと思います。

3.トランジスタ特性

ロジック回路とアナログ回路をトランジスタレベルで理解しようとした場合、トランジスタ特性を理解しておく必要があります。

ここではトランジスタはバイポーラトランジスタではなく、MOSFETとして説明をしていきます。

トランジスタ特性を勉強する前に「ゲートに電圧をかけるとソースとドレインの間に電流が流れる」といったトランジスタの動作は軽く勉強しておいてください。

トランジスタの特性は2つの「電流-電圧特性 (I-V特性)」を理解すればOKです。

①ドレイン電圧と電流の特性(Ids-Vds特性)
トランジスタのドレインに電圧を印加していった時に電流がどう変化するかの特性となります。

トランジスタはある程度ドレインに電圧を印加すると定電流出力になります。ここらへんの動作をきちんと理解しておきましょう。

②ゲート電圧と電流の特性(Ids-Vgs特性)
トランジスタのゲートに電圧を印加していった時に電流がどう変化するかの特性となります。

スレッショルド電圧があり、ゲート電圧がスレッショルド電圧よりも小さいとトランジスタは電流が流れません。

ゲート電圧はスレッショルド電圧が存在するということを理解しておきましょう。

電子回路のスキルが活かせるところ

電子回路のスキルを身につけた場合、どういったところに勤務先があるかをご紹介します。

1.ICメーカ

ICつまり半導体製品を作るメーカです。

半導体製品も色々ありますが、すべての半導体製品はトランジスタをベースにした回路となります。
主な仕事内容としては電子回路そのものを設計するという内容になります。

2.電機メーカ

家電製品とかを扱っているメーカや自動車の電装メーカなどとなります。

トランジスタや半導体製品(IC)を使って回路設計をします。
主な仕事内容としては電子回路を使って回路設計していくという内容になります。

3.ディスプレイメーカなど

ディスプレイメーカなどは回路設計はしないのですが、半導体製品を実装する必要があります。ディスプレイを駆動するために半導体製品を扱う必要があるからです。

こういった回路設計をメインとせずに半導体製品を扱うメーカなどもあります。
主な仕事内容としてはICメーカと交渉して製品の開発を進めるといった内容になります。

まとめ

電子回路とは何かについて説明しました。

本記事を読んで「電子回路とか難しいイメージだったけどなんか理解できそうだな」と感じて頂ければありがたいです。

もしこれから何かスキルを身につけようと考えている方は、電子回路を一つの選択肢として検討して頂けると幸いです。