「半導体の作り方を知りたい。
どれくらいの手間がかかるの?
コストはどれくらいかかるの?」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- 半導体の作り方を説明します
- 半導体ができるまでの期間
- 半導体のコストについて
この記事を書いている私は、ディスプレイ用ICの開発を20年近くやってきました。
特許は20件以上出願、登録しています。
こういった私が解説していきます。
半導体の作り方を説明します
半導体は「ウエハ」と呼ばれるシリコン結晶の基板をベースに作られます。
まずはそのウエハに回路を形成するためのパターニングをします。
次にパターニングした後のウエハを検査して、一つ一つのチップにカットします。
そしてそのチップをパッケージに実装することで半導体ができあがります。
図にするとこんな感じです。
ウエハをパターニングするところまでが前工程、そこからパッケージに実装するまでが後工程になります。
それぞれ工程は分業化がされていて、前工程を担当するメーカは「ファウンドリー」と呼ばれています。
設計を担当するメーカはデザインハウスと呼ばれていて、各メーカのつながりをまとめると次のようなフローになります。
補足:この記事では「半導体=IC(半導体製品)」として説明をしています。
半導体について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参考ください。
>>【初心者向け】半導体とは何か、わかりやすくまとめました【簡単です】
半導体ができるまでの期間
半導体ができるまでの期間ですが、おおよそ4ヶ月くらいです。
前工程で3ヶ月、後工程で1ヶ月といったイメージになります。
ウエハをパターニングするときに、マスクを使って露光と現像をしていきます。
前工程の期間はこのマスクの枚数に依存します。
例えばあるプロセスでのマスク枚数が30枚とします。
1つのマスクを処理するのにおおよそ2日くらいかかりますので、前工程の期間は30枚×2日=60日となります。1ヶ月=20営業日としますとだいたい3ヶ月になるといった感じです。
ここでもっと早くできないのと考えた方もいらっしゃると思います。
実はこの2日というのはほとんど処理の待ち時間になっています。
ですので優先的に処理をするようにファウンドリーへ依頼すれば、もっと早く半導体が完成します。
(ただしその分の費用は発生します。)
半導体のプロセスに依存しますが、注文してから納入までは早くても4ヶ月くらいかかるというイメージになります。
半導体のコストについて
半導体のコストはおおまかにパターニング後のウエハ価格と歩留まり(良品率)と取り数で決まります。
半導体のコスト = ウエハ価格 ÷ (取り数 × 歩留まり)
それぞれの項目は次のとおりです。
- ウエハ価格:ウエハサイズや半導体のプロセスによって決まります
- 歩留まり:仕様で取り決めた内容や設計の難易度によって決まります
- 取り数:ウエハから取れるチップの数で、ウエハサイズとチップサイズで決まります
例えば、ウエハ価格が10万円、歩留まりが80%、取り数が500個としますと次のようになります。
半導体のコスト = 10万円 ÷ (500個 × 80%) = 250円
つまりこの例では半導体のコストは250円になります。
ここで後工程の費用とか考えなくて良いの?と思うかもしれません。
確かに正確なコストではありませんので、もう少し追加する必要があります。
テスト工程まで終えた半導体はベアチップと呼ばれており、ここが半導体の中身になります。
半導体の外側はパッケージとなり、このコストはパッケージそのものに依存します。
つまり最終的なコストは次のとおりとなります。
半導体のコスト(最終) = ベアチップのコスト(中身) + パッケージのコスト(外側)
まとめ
半導体の作り方について簡単に説明しました。
本記事を読んで半導体ができるまでのおおまかなイメージをつかんで頂ければありがたいです。
もう少し詳しく知りたいという方のために私自身が使っていた本をご紹介しておきます。
少し専門的ですが一つ一つの工程について詳しく書かれているのと用語の解説がありますので、半導体製造について具体的にイメージをつかむことができるかと思います。