「MOSの概略を知りたい、イメージを掴みたい。
MOSトランジスタを使うと何ができるの?
〇〇nmプロセスとか言うけど一体何なの?」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
- MOSとは何かわかりやすく説明します
- トランジスタを使うとできる回路3パターン
- プロセスルールとは何かについて説明します
この記事を書いている私は、ディスプレイ用ICの開発を20年近くやってきました。
特許は20件以上出願、登録しています。
こういった私が解説していきます。
MOSとは何かわかりやすく説明します
MOSとは「Metal」、「Oxide」、「Semiconductor」の頭文字をとった言葉です。
それぞれは次のとおりとなります。
Metal=金属
Oxide=絶縁体(酸化膜)
Semiconductor=半導体
図にするとこんな感じです。
この構造が「MOS」で、この構造をしているトランジスタのことを「MOSトランジスタ」や「MOSFET」と言います。
ここで、FETは「Field Effect Transistor」(電界効果トランジスタ)のことで、MOSトランジスタの別の言い方と思って頂いてOKです。
ですので「MOSFET」を単に「FET」と言っても大丈夫です。
トランジスタにはバイポーラトランジスタとMOSトランジスタがあるのですが、バイポーラトランジスタを「トランジスタ」、MOSトランジスタを「FET」と言ったりすることもありますので、少し心に留めておきましょう。
要するに「MOS」はトランジスタの一つと認識してもらえればOKです。
トランジスタを使うとできる回路3パターン
トランジスタを使うとできる回路は大まかに次の3パターンになります。
- アナログ回路:電圧や電流を扱う回路
- ロジック回路:データを論理的に処理する回路
- メモリ回路:データを保持する回路
1.アナログ回路:電圧や電流を扱う回路
入力や出力のどちらかが電圧や電流になっている回路です。
たとえばスピーカーを鳴らすために1Vとか5Vといった電圧が必要となりますが、音源データは0と1のデジタルデータとなりますので、そのデジタルデータを電圧に変換する必要があります。
このようにデジタルデータを電圧に変換したり、逆に電圧をデジタルデータに変換したりする回路がアナログ回路となります。
2.ロジック回路:データを論理的に処理する回路
入力も出力も0、1のデジタルデータを扱う回路です。
論理的な処理は自販機の制御をイメージして頂けると分かりやすいと思います。
「商品のボタンが押されたら、お金が入っているか確認する」→「お金が入っていたら商品を出す」→「お釣りがあったらそれを出す」といった感じで、内部の状態や外部からの入力に基づいて処理をすることが論理的な処理となります。
こういった論理的に処理する回路がロジック回路となります。
3.メモリ回路:データを保持する回路
これはそのままデータを保持する回路となります。
パソコンやスマホのメモリが分かりやすいと思いますが、データを一時的に保存しておくためにも使われます。
例えば先程の自販機ですと、いくらお金を入れたかなどを記憶しておくために使われる回路がメモリ回路となります。
参考:これらの回路を使った製品にどういったものがあるかはこちらの記事で説明しています。
>>【初心者向け】半導体とは何か、わかりやすくまとめました【簡単です】
プロセスルールとは何かについて説明します
プロセスはMOSトランジスタの製造工程です。
そしてプロセスルールはその製造工程における最小の加工寸法となります。
この最小の加工寸法はだいたいトランジスタのゲート長になります。
つまりプロセスルールの「〇〇nm」とはトランジスタのゲート長を表していると考えて頂ければOKです。
下の図をご参考ください。
ゲート長はトランジスタの寸法の一つなんだなくらいの認識で大丈夫です。
つまり10nmプロセスとか70nmプロセスの「10nm」とか「70nm」というのはMOSトランジスタのゲート長となります。
当然ですがこのゲート長が小さいほど、MOSトランジスタ全体のサイズも小さくなります。
補足:nm(ナノメートル)は1mかける10のマイナス9乗です。
MOSトランジスタのサイズが小さいとより多くの回路を搭載できるだけでなく、トランジスタの高速化やコストダウンも実現できますので、プロセスルールを改善していくのはとても重要となっています。
まとめ
MOSとは何かわかりやすく説明しました。
この記事を読んでイメージをつかむことで、あなたご自身の理解に役立てればありがたいです。
半導体についてはこちらの記事で解説しておりますので、よければご参考ください。
>>【初心者向け】半導体とは何か、わかりやすくまとめました【簡単です】