pn接合についてわかりやすく説明します【イメージできれば簡単です】

半導体を勉強している人
「pn接合を知りたい。
空乏層とは一体何なの?
順バイアスや逆バイアスのイメージをつかみたい。」

こういった疑問にお答えします。

本記事の内容

  1. pn接合について説明します
  2. 空乏層について説明します
  3. 順バイアスと逆バイアスについて説明します

この記事を書いている私は、ディスプレイ用ICの開発を20年近くやってきました。
特許は20件以上出願、登録しています。

こういった私が解説していきます。

pn接合について説明します

pn接合とはp型半導体とn型半導体を接合したものになります。

ここでp型半導体はホールがある半導体、n型半導体は自由電子がある半導体とイメージされる方もいらっしゃると思います。

間違いではないのですが、もう少しがんばってアクセプターとドナーもイメージに追加するようにしましょう。

アクセプターは動けないマイナス、ドナーは動けないプラスというイメージでOKです。
つまり整理しますと下記のようになります。

p型半導体:「動けるプラス=ホール」 + 「動けないマイナス=アクセプター」
n型半導体:「動けるマイナス=自由電子」 + 「動けないプラス=ドナー」

図にするとこういったイメージです。

このp型半導体とn型半導体と接合したものがpn接合となります。

参考:n型半導体に関してはこちらでもう少し詳しく説明しておりますのでぜひご覧ください。
>>n型半導体について説明します【ポイントをおさえれば簡単です】

空乏層について説明します

次に空乏層について説明します。

空乏層は自由電子とホールがとどまれない領域です。

自由電子やホールが通過することはできるのですが、一時停止が禁止されている領域とイメージするのが良いかと思います。

先程のアクセプターとドナーを追加したイメージで接合すると、下の図のようになります。

接合の近辺は自由電子とホールが再結合します。
ここですべての自由電子とホールが再結合しそうな感じですが、そうはなりません。

なぜなら自由電子がp型半導体に進入しようとしても、p型半導体にある「動けないマイナス=アクセプター」が壁になって進めないからです。

つまり自由電子はアクセプターが邪魔してp型半導体に進入できません。
同じようにホールもドナーが邪魔してn型半導体に進入できません。

この自由電子とホールがこれ以上進入できない領域が空乏層の幅となります。

順バイアスと逆バイアスについて説明します

pn接合にバイアスをかける、つまり電圧を印加するとどうなるかを説明します。

ここでイメージを簡単にするために、電圧源から供給される自由電子とホールは再結合しない前提で説明していきます。

補足:電流の向きは自由電子の流れと逆になりますのでご注意ください。

順バイアス

p型半導体にはプラスの電圧を、n型半導体にはマイナスの電圧を印加するのが順バイアスです。

ホールはマイナス電圧に引き寄せられて、自由電子はプラスの電圧に引き寄せられますので下の図のようになります。

ホールと自由電子が移動することで空乏層の幅は狭くなります。

この状態で電流を流そうとするとどうなるでしょうか?
つまり自由電子が電圧源から供給されてn型半導体からp型半導体に進むことになります。

p型半導体にあるマイナスの壁が薄くなっていて、アクセプターの邪魔が小さくなっていますので、電子がp型半導体に進みやすくなっています。

順バイアスではこのアクセプターが邪魔しているエネルギー分だけ電圧をかけると電流が流れます。

逆バイアス

p型半導体にはマイナスの電圧を、n型半導体にはプラスの電圧を印加するのが逆バイアスです。

ホールはマイナス電圧に引き寄せられて、自由電子はプラスの電圧に引き寄せられますので今度は下の図のようになります。

ホールと自由電子が移動することで空乏層の幅が広がります。

この状態で電流を流そうとするとどうなるでしょうか?
今度は自由電子が電圧源から供給されてp型半導体からn型半導体に進むことになります。

電圧源からp型半導体へ電子が供給されるのですが、p型半導体にあるマイナスの壁が厚いため電圧源からp型半導体に電子が進入できません。
(電圧源からの自由電子とホールの再結合は無しとします。)

つまり逆バイアスではp型半導体のアクセプターがものすごく邪魔しているので、電流が流れないということになります。

ここでアクセプターが邪魔しているエネルギー分だけ電圧をかければ電流が流れるのではないの?と考えた方もいらっしゃると思います。

これはその通りです。

逆バイアスでもマイナスの壁を突破できるほどの十分大きな電圧をかけると電流が流れます。
その状態をブレイクダウン(降伏)と言い、その電圧がブレイクダウン電圧(降伏電圧)となります。

まとめ

pn接合について説明しました。

この記事を読んでイメージをつかんで頂くことで、pn接合の理解に役立てればありがたいです。

半導体やn型半導体についてはこちらの記事で解説しておりますので、よければご参考ください。

>>【初心者向け】半導体とは何か、わかりやすくまとめました【簡単です】
>>n型半導体について説明します【ポイントをおさえれば簡単です】